最終更新日: 2024年3月27日
令和6年第1回定例議会(2月29日)の冒頭において、
平野町長が述べた令和6年度施政方針の全文は、次のとおりです。
PDF版:令和6年度 施政方針(内容は下記と同じです)
本日、ここに令和6年第1回定例議会の開会に際し、令和6年度の予算案並びに議案についてのご審議をお願いするにあたりまして、所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
昨年は、長年の懸案事項でありました防災拠点となる役場庁舎が完成し、防災機能の充実強化が図られました。また、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行され、日常の生活が戻りつつある中で、原油価格の上昇に伴う物価高騰が町民の皆さまの生活に大きな影響を及ぼしました。
その影響を緩和するため、本町では令和4年に引き続き国の交付金を活用し、町内の商店等で利用できる地域応援券の発行や、医療・福祉施設、交通事業者等への経営継続支援事業等を実施してまいりました。
9月には台風第13号の影響により町内に甚大な被害が発生しました。引続き復旧復興に全力を挙げて取組んでまいります。また、まちづくりの総合的な指針となる「長南町第5次総合計画」を基軸として、主要課題である人口減少・少子高齢化に起因する様々な課題や変化をしっかりと受け止め、自立的で持続可能なまちづくりを目指すとともに、引き続き、住民目線で住民に寄り添った行政サービスを推進してまいります。
さて、我が国の経済情勢を見渡しますと、各種政策の効果により、景気が持ち直していくことが期待されています。しかし、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクになると言われておりますので、引続き動向を注視してまいります。
町の財政状況では、令和4年度決算から見ますと、健全な財政運営を判断する4つの指標である健全化判断比率は、いずれの指標も早期健全化基準を下回っていることから、町の財政運営は健全な状態にあると言えます。また、財政構造の弾力性を表す経常収支比率は、前年度と比較しますと3.8ポイント増の、81.3%であり、引続き財政の硬直化とならないよう努めてまいります。
令和6年度一般会計予算につきましては、町税総額は、固定資産税において償却資産におけるメガソーラー新規稼働による増収見込みがあるものの、個人住民税における定額減税の実施などにより、前年度と比較して2.2%減少し、自主財源の確保は依然として厳しい状況にあります。
事業の実施にあたっては、過疎対策事業など地方交付税の算入に有利な地方債の活用や、各基金からの繰り入れなどによる財源措置を行い、予算総額は前年度比3.8%増となる49億9,000万円の編成といたしました。
それでは、長南町第5次総合計画に位置付けた6つの基本方針に沿いまして、各事業に係る方針を申し上げます。
はじめに、1「社会基盤の充実したまち」では、
旧庁舎解体工事につきまして、本年1月5日に完了し、現在仮設駐車場として利用しているところでございます。今後は町民の皆様や来庁者が利用しやすくなるよう、庁舎附属棟と合わせて庁舎周辺整備事業を進めてまいります。
次世代の社会基盤となるデジタル化、いわゆるDXについては、デジタル庁の自治体情報システムの標準化に対応するため、「デジタル基盤改革支援補助金」を活用し、庁内の住民基本台帳システムをはじめとする、税や介護などのシステムを、国の統一的な仕様に準拠させるために、令和6年度からシステム改修作業に着手いたします。また、「地域活性化起業人制度」により、民間企業からデジタル人材を登用し、「長南町DX推進計画」を策定することで、デジタル技術の普及促進を図ってまいります。
マイナンバーカードにつきましては、国が健康保険証との一体化を始めとする各種施策を進めておりますが、便利で安心・快適な社会生活を送る上で重要な社会的基盤であることから、定期的な周知などを通じて取得率の向上を図ります。また、町におきましても昨年3月からコンビニ等に設置されている端末機で住民票、印鑑証明、所得課税証明書がマイナンバーカードにより取得できるようになりましたが、一層各種手続きについて利便性が向上するような方法を模索してまいります。
次に、町道につきましては、交通安全対策を最優先に通学路の整備を促進し、その他の社会インフラにつきましては、長寿命化修繕計画等に基づき、適切な維持管理に努め、住民が安心で安全な生活を送れる生活基盤の維持を図ってまいります。また、河川につきましては、準用河川長南川において、流れを阻害する竹木の伐採等を実施し、家屋等の浸水被害防止対策に取り組んでまいります。
地籍調査事業につきましては、調査開始から11年目を迎え、計画区域の約53%の現地調査が完了し、事業計画より1年早い進捗となっておりますことから、引続き事業の推進を図ってまいります。
地域公共交通につきましては、令和4年度に第2次となる長南町地域公共交通計画を策定し、この計画に基づき、令和5年度にデマンドタクシーの運行時間等の拡充について「地域公共交通活性化協議会」において検討いたしました。
その結果、交通モード体系を総合的に判断する中で運行内容の拡充は困難との結論に至ったことから、引続き現行の運行内容によりデマンドタクシーを運行してまいります。また、保護者負担軽減と路線バスの維持を目的に新たに高校生等の通学に要する路線バス定期券の購入に対する補助を1年間試行的に実施してまいります。
重要なライフラインのひとつである地上デジタル放送の受信につきましては、老朽化しておりました西地区テレビ共同受信聴視施設について、より効率的で耐久性の高い光ケーブルによる光化改修工事が完了しましたので、適切な維持管理に努めてまいります。
次に、2「活力と賑わいにあふれたまち」では
地方創生・地域活性化に向けて策定した「第2期長南町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」の計画期間が4年目を迎えます。全国的に地方の人口減少が続く中で、コロナ禍など社会経済状況の変化に対応し、我が町の特色を活かしながら、農業・商工業・観光の振興、企業誘致、人口対策、雇用創出など、活力と賑わいにあふれたまちづくりに取組んでまいります。
まず、移住・定住促進の取り組みにつきまして、近年普及している二拠点居住やリモートワークなど、新しい暮らし方や働き方を目指して生活拠点を求めている移住希望者の受け皿を確保するため、「長南町空き家バンク登録促進事業補助金」により、主要課題の一つである空き家の増加抑制及び有効活用を図ってまいります。また、「若者定住及び三世代同居促進奨励金制度」を引続き5年間延長し、若年層の転入促進及び流出抑制、三世代同居世帯の増加につなげてまいります。
企業誘致につきましては、長南西部工業団地計画跡地及び空港代替地といった遊休町有地や、耕作放棄地・空き地等の民有地の活用も視野に入れ、引き続き、地域経済の活性化や雇用創出につながる企業の誘致に取組んでまいります。
農林業の振興につきましては、農地・農業用施設の災害復旧工事を優先とし、国が進める「食料・農業・農村基本計画」や「みどりの食料システム戦略」の動向を注視しながら、本年も引続き、農地の集積・集約化、担い手の農地利用を促進し、生産額の増加につながる施策を展開してまいります。
本町における地域農業の現状につきましては、農業従事者の高齢化や後継者及び担い手の不足、新型コロナウイルスの影響による米価下落、物価高騰による肥料や飼料価格の上昇など、依然として厳しい状況が続いております。このようなことから、地域内農用地の効率的かつ総合的な利用に関する目標及びその目標を達成するために必要な具体的な取組について、農業委員会、県及び町などを含め、地域の方々で協議を行い「地域計画」を策定し、次世代を見据えた農業の推進に努めてまいります。
林業振興対策といたしまして、森林の持つ国土保全、水源涵養等の多面的機能を守るため、森林整備施業に不可欠な地域活動を支援するため、間伐や植栽など森林整備の促進を図ってまいります。
有害獣対策につきましては、国県の補助制度を活用した地域ぐるみの対策を推進するほか、実施隊をはじめとした捕獲従事者と共に、機材及び配置の増強を行いながら、積極的に捕獲を行ってまいります。
多面的機能支払につきましては、各地区での共同作業が定着し、様々な面での波及効果をもたらしておりますので、引続き導入地区の拡大を図ってまいります。
商工業の振興につきましては、商店等への事業継続支援など、地域に寄り添った伴走型の支援活動を実施し、引き続き、経営改善指導や、資金融資に対する利子補給を行い、町全体の商工業活性化を支援してまいります。
観光分野につきましては、広域的な観点から、県、観光連盟、各協議会等と連携し、広域観光ルートの設定や、インバウンドの取り組みを行うなど、新たな地域の魅力を発信してまいります。
農産物直売所につきましては、地場産業の育成、農業・商業・観光業の振興と共に、高齢化が進む本町における町民の日常生活の維持、生活利便性向上等の観点から、早期に事業着手できるよう取組んでまいります。
次に、3「自然と調和した暮らしやすいまち」では
本町が守り続けてきた豊かな自然環境は長南町固有の資源であり、重要な財産です。この財産を未来に向けて絶やすことなく、貴重な地域資源として有効活用を図ることが、SDGsの推進や脱炭素社会の実現の根本とも言えます。
ガス事業では、近年の人口減少に伴う販売量の減少やエネルギー価格が高騰しており、「安全と安心を最優先」をテーマに、安定供給を将来にわたり継続出来るよう、本年度にガス料金の値上げをお願いすることとしました。今後もより安全で快適な生活環境の維持に努めてまいります。また、今後は長南・睦沢ガス供給所の建替えなどガス施設の維持管理をはじめとする、中長期的な視点に立った計画的な経営基盤の強化に取組んでまいります。
豊かな自然環境の保全につきましては、生活雑排水の適正な放流のため、合併処理浄化槽の設置に対して支援を行うほか、農業集落排水施設の適切な維持管理など、きれいな水環境の維持に努めてまいります。
循環型社会の推進につきましては、脱炭素化促進事業として、家庭用蓄電池システムと電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の購入に対して支援を行ってまいります。また、温室効果ガス削減に向けた取り組みとして、昨年度に引続き『わが家のエコ電補助金』として、ご家庭における照明器具等のLED化について、支援を行ってまいります。
次に、4「だれもが健康で元気に暮らせるまち」では、
福祉の分野では、少子高齢化や核家族化の進展に伴い、行政に求める支援も多様化しております。
こうした問題を解決するためにも、民間事業者との連携を図り、自助、互助、共助、公助のバランスのとれた福祉のまちづくりが求められていると考えております。まず、児童福祉の分野では、保育所・幼稚園の利用料無償化を引続き行い、子育て世帯の経済的な負担軽減を図るなど、子育てのしやすい町となるよう努めてまいります。
障がい者、障がい児の福祉につきましては、「第7期障がい福祉計画」「第3期障がい児福祉計画」の両計画に基づき、それぞれの人格や個性を尊重した福祉サービスの提供を行うための施策、体制づくりを図ってまいります。
高齢者福祉につきましては、「第9期」となる新計画の下、できる限り住み慣れた地域で介護サービスを受けられるよう、各種サービスの充実、且つ安定的な事業運営に努めてまいります。また、介護予防事業のほか、健康寿命を延ばすことを目的とした、認知症予防施策を推進するため、町の認知症サポート医を中心とした予防事業や、地域住民や事業者との協働によるコミュニケーションの場の提供などを、包括支援センターを中心に進めてまいります。
更に、町社会福祉協議会を通して、独居高齢者への給食サービスや買物支援などの高齢者福祉事業を実施するとともに、きめ細かい福祉の充実を図るため、社会福祉協議会の活動を支援してまいります。
保健事業では、健康増進を総合的に推進し、町民の皆様が健康で元気に暮らせるまちづくりに取組んでまいります。町の医療費は依然として高水準で推移し、生活習慣病保有率も高い数値を示しております。食生活の改善、運動教室や健康講座を継続するなど予防活動を推進するとともに、新たに高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業を開始いたします。
健(検)診関係では、病気を早期発見し、早期治療につなげることを目的に、特定健診、後期健診、人間ドック、各種がん検診を実施して参ります。また、DXを活用し、受診率の向上を図るとともに、受診後の保健指導、健康相談業務を行ってまいります。
任意予防接種では、おたふくかぜワクチン、毎年流行するインフルエンザ予防のため、乳幼児から中学生までワクチン接種の一部助成を継続し、新たに50歳以上を対象としました帯状疱疹ワクチンの接種費用の一部助成を開始いたします。
母子保健では、妊娠期から出産・子育て期にわたるまで、様々なニーズに即したきめ細やかな相談支援の充実を図るとともに、高校生までの医療費無料化、出産・子育て応援交付金など、経済的支援を継続し、より安心して子育てをできる環境づくりに努めてまいります。
5「豊かな心を育み、生きる力を学べるまち」では、
長南町教育振興基本計画の基本理念である『人とつながり、地域とつながり、次世代へつなげる 長南の教育』を引き続き推進してまいります。
学校教育につきましては、学校・家庭・地域・行政が連携・協力して、子どもたちの『生きる力』を育み、一人一人が故郷を誇り、共に学び生きる町を目指すとともに、施設等の改修についても検討してまいります。
生涯学習につきましては、町民の学習ニーズに応える質の高い学習機会を提供し、誰もが生涯にわたって楽しく学び続けることのできる環境整備を検討してまいります。また、文化財や伝統文化の保護・伝承に努めるとともに、各種団体との連携を図りながら、文化活動やスポーツ・レクリエーション活動の振興に努めます。
公民館の建替えに伴う複合施設の整備については、教育、福祉、コミュニティなどの機能を備えたまちづくりの拠点施設として早期に事業着手できるよう取り組んでまいります。
旧長南小学校校庭に整備いたしました「スケートパーク長南」については、本年度から指定管理者制度を導入し、民間企業がもつノウハウを最大限活用し、多様化するニーズへの対応、青少年の健全育成やスポーツ振興に併せて効率的な施設管理に努めてまいります。
学校給食につきましては、引続き給食費の無償化に取組み、保護者の教育費負担の軽減を図るとともに、安全・安心な給食を安定的かつ継続的に提供してまいります。
6「安心・安全に暮らせる町民との協働によるまち」では
災害に強いまちづくりを推進するため、「防災基本条例」及び「国土強靭化地域合同計画」に基づき、町民の生命・財産などの安心・安全に努めてまいります。
災害時における地域防災の要となる自主防災組織については、地域住民の協力を得ながら、組織の設立促進を図ってまいります。また、防犯カメラ設置に関する補助を創設し、安心に暮らせる町の推進を図ります。
令和6年度は長南町が誕生し、70周年を迎える節目の記念すべき年であります。70周年記念事業として町民の皆さまをはじめ、関係者の協力をいただきながら、工夫を凝らしたイベントにより、皆さまとともに長南町を盛り上げ、活気と賑わいを取り戻すべく、取組んでまいります。
協働の推進では、町民の団体等が主体的に取り組む地域活性化事業や町のPR事業に対し、まちづくり町民提案事業補助金による支援を行い、長南町をより良いまちにしたいと願う町民の皆様と町が、互いに連携協力できる関係づくりを推進してまいります。
最後に、長南町のまちづくり全般につきまして、5年後、10年後のまちづくりのイメージをわかりやすく示し、町民と行政の協働によるまちづくりをより一層推進するため、長南町第5次総合計画に基づく「まちづくり計画図」の作成を鋭意進めているところです。完成しましたら長南町の将来のイメージを町民の皆様と共有しながら協働によるまちづくりをさらに推し進め“ふるさと長南の再生”に全力を尽くしてまいります。
以上、令和6年度を迎えるにあたり、町政に関する私の姿勢を述べさせていただきました。
何卒、よろしくお願い申し上げます。